November 22, 2009
HERE TODAY

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シルヴァンとアヤの兄妹と一緒に撮った記念写真を、トマスが見せてくれた。兄妹はカリフォルニア州オークランドから、先月、鹿児島にやってきて四日間ほど滞在した。どうやら誰かの家で撮影されたもののようだ。トマスの実家だろうか。アヤの後ろには本棚が置いてあって、ずらりとマンガ本が並んでいる。覚えがある場所。画面の中央に写った食卓の上の様子を確認する。お好み焼き。思わず声を出して笑ってしまった。トマスはシルヴァンとアヤを「のんちゃん」に連れていったのだ。「のんちゃん」は鹿児島大学農学部の正門前にある、学生相手のお好み焼き屋。トマスはある日ふと、学生時代に通ったこの店のことを思い出し、ふらりと寄ってみたのだそうだ。わりと最近のことらしい。そしてその魅力をあらためて発見して、以来、ことあるごとに人に薦めているようである。

自分も、先月、ケインに連れていかれたばかりだった。約束の時間にやや遅れて到着し店の中に入る。とても狭く、しかも先客でほぼ満員、座る場所などない。二階ですと言いながら、ケインがトイレの前で靴を脱ぎはじめた。自分もあわててトイレの前に行くと、左のドアの反対側に階段がある。ケインが先に立ち、狭い階段を上って襖を開けた。ジャッドくん一家とセンヌキ王子がすでにテーブルを囲んで座っている。ふつうの八畳、いや六畳だったかもしれない。とにかく和室の真ん中に横長の卓袱台があって、周囲に座布団が敷かれている。ジャッドくん一家は、法事の後に親戚の家で普段着に着替えてくつろぐ甥っ子夫婦と子どもたちみたいに見えた。とすると、センヌキ王子はこの家の長男といったところか。長男の横の本棚には『カイジ』やら何やらが収まっているから、注文の品が出てくるまでに時間がかかったとしても、退屈はしないだろう。やがて全員が揃い、栓をしたままのビールと焼酎をボトルで、そしてお好み焼きや焼きそばを頼む。テーブルに鉄板はなく、焼き上がったものが下から運ばれてくる。その度に階段をとんとん上ってくる足音がして嬉しくなる。お好み焼きはキャベツをふんだんに使っている。生地の存在感をほとんど感じない風変わりな焼き方だったがとても美味い。そして塩焼きそばも胡椒が利いていて好みの味だった。芋焼酎の瓶もいつの間にか空になり、親戚の集まりのような食事会は終わった。店を出て割り勘分の金額を尋ねる。さすがは学生街の店、ひとり千円だったそうだ。「のんちゃん」のことをどう思ったのか、シルヴァンとアヤに会う機会があったら、ぜひ訊いてみたい。

◎のんちゃん 鹿児島市荒田2-25-16