June 26, 2009
プチログ!
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June 23, 2009
HERE TODAY
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クラブハウスサンドウィッチが食べたくなって、久しぶりに「山の上ホテル」の本館ロビーに行った。メニューにサンドウィッチ類があったかどうかまるで覚えていなかったのだけれど、何故か根拠のない自信があった。いや、立派な根拠があった。クラブハウスサンドウィッチほどクラシックなホテルのロビーに似合う食べ物を、他に知らない。だから「山の上ホテル」にないはずがなかろうと思ったのだ。いつものように正面玄関から中に入り、左に行くか右にするか迷う。右に進むと禁煙の狭いロビーがある。そして左は喫煙者用のメインロビーだ。メインと言っても別にたいして広くはない。前にも書いたが、自分は煙草を吸わないくせに、このホテルの大振りな赤い灰皿が大好きである。それを見たいがために、煙いのを我慢してメインロビーに座ることが多い。結局、今回もそうすることにした。左に歩きながら、次回はぜひ友人と一緒に来ようと思った。その友人がタバコの煙をくゆらす姿には、ちょっと惚れ惚れとする格好良さがある。赤い灰皿を前にしてくつろぐ友人の様子を眺めてみたくなった。いちばん奥のソファに腰掛けメニューを確かめると、思いの外、食べ物は少ない。あるのはサンドウィッチセットだけ。しかし二種類のうちの一方がクラブハウスサンドウィッチだったから、やはり自分の勘は当たっていたことになる。注文を済ませて気持ちが落ち着いた途端、いままでと雰囲気がどこか違うことに気づいた。そして即座に理由がわかった。テーブルの上に灰皿がないのだ。コーヒーを先に運んできたウェイトレスに、「もしかしてこの場所は禁煙になったのですか」と尋ねてみる。ウェイトレスは、去年の11月から全館禁煙にしていると申し訳なさそうに頭を下げ、しずしず去っていった。しばらくしてクラブハウスサンドウィッチが運ばれてきた。ぼんやりしながらそれを食べる。視点が定まらないのは、テーブルの上に赤いポイントがないからだろうか。もっと早くに友人を連れてくるべきだった。

ふらりと、ベージュのスーツを着た白髪の男性がロビーに入ってきた。どの席にしようか迷っているのか、なかなか座ろうとしない。ウェイトレスが近づいていく。男性は禁煙になったのかと声をかける。「はい」と彼女が言うと、男性は「えっ、嘘だ」と短く声をあげたまま、その場で凍りついたように固まってしまった。自分は、心からその白髪の男性に同情した。断っておくが、喫煙者を擁護したいのではない。彼の、その瞬間の哀しみがなんとなくわかるような気がしただけだ。

 

山の上ホテル 東京都千代田区神田駿河台1-1

*写真は前に撮影したものです。

June 14, 2009
HERE TODAY
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いつも持ち歩いているバッグは、トートにしてもショルダーにしても、内側に仕切りやポケットがあるようなタイプではないから、こまごましたものが常に中でごちゃごちゃと折り重なっている。当然、急にメモを取る必要があったりすると、バッグをひっくり返して、中味をすべてぶちまけたほうが早いのではないかと思うくらい、延々とバッグに手を突っ込んでごそごそ探すことになるので困る。名刺交換のときなどは特に、相手を待たせたままもたもたしたくない。そこで、使う頻度が高いスケジュール帳とメモ帳と名刺入れとペンだけは、ジップロックに入れてまとめておくようにした。以後は、すぐに自分の名刺を取り出せるようにはなったけれど、ジップロックをバッグから引っ張り出すたびに相手が怪訝そうな顔をする。旅の荷物ではないのだし、やはりジップロックではどうにも体裁が悪いのだ。

先日、パラシュート生地でできた「エルベシャプリエ」のフラットポーチをもらった。ブリーフケースくらいの大きさで、旅行のときなど便利に使えそうだ。袋に一緒に入っていたカタログをぱらぱら眺めたら、同じフラットポーチの小さいものが載っていた。自分に必要なのはこれだと閃く。名刺を差し出す前にくすくす笑われることもなくなるはずと、すぐに代官山の「エルベシャプリエ」に行ってみる。大きなサイズのフラットポーチがディスプレイされていた。上部についたジッパーの裏側がグログランリボンで補強されていて、本体のパラシュート生地とこのリボンの色の組み合わせがたくさんある。黄色にピンク、鮮やかな青にサックスブルー、白にピンク、赤にグレーなど、どれも魅力的だ。リボンと本体の境目のところには小さな織りネームが縫い付けられている。ダークグリーンの地に黄色の文字。本体とリボンの組み合わせは多様なのに、織りネームは一色だけ。にもかかわらず、どの組み合わせにもぴたりとはまって見えるのはたまたまなのか、グリーンが何にでも調和する色だからなのか、理由はわからない。あらゆる色のコンビネーションを考える前に、織りネームはグリーンにすると先に決めてあったのだろうか。本体とリボンの色の組み合わせは、間にグリーンの織りネームを入れることで完璧になったのだと言いたくなるほど、どのポーチも、その位置にグリーンが必要だったように感じられることが不思議でならない。

ところで、肝心の小さなフラットポーチは品切れになっていた。お願いして、他店の在庫を取り寄せてもらった。ブーゲンビリアのような紫とグレーの組み合わせだ。

 

エルベシャプリエ 東京都渋谷区代官山町15-8

June 7, 2009
HERE TODAY
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函館に行く用事ができたので、函館出身の知り合いに、彼の地で食べてくるべきものは何かあるかと尋ねたら、「星龍軒の焼きそば」と即答する。去年、帰省したときも、あれは本当に美味いという話で旧友たちと盛り上がったのだそうだ。朝市の近くにある有名な店で、はじめてでも場所はすぐにわかるらしい。到着の日の昼飯はそれにしようと決めた。

知り合いの言ったとおり、「星龍軒」はすぐに見つけられた。店の前に数人の男たちが並んでいる。作業服を着ているから、たぶん近所に勤める地元の人間だ。五分と待たず中に招き入れられ、カウンターの端に案内された。後ろにテーブル席が四つばかりあって、修学旅行の小学生の一団、着飾った中年女性たち、そして白衣を着た男女の集団などが座って食事している。観光客と地元民が半々といった感じだった。席に着くなり、隣の客の前に塩ラーメンが運ばれてきた。北海道出身の自分にとってラーメンは塩味が基本である。「星龍軒」のそれは相当に魅力的で、食べてみたくなった。しかし、東京に戻ったら、焼きそばはどうだったかと、知り合いに感想を訊かれるに決まっている。ぐっと堪えて、水を持ってきてくれた店員に「焼きそばをください」と頼んだ。「醤油味のでいい?」。あわてて壁に貼られたメニューに目をやる。ソース焼きそば、焼きそば、あんかけ焼きそば、焼きそば(バリ)。四種類ある。知り合いは焼きそばとしか言っていなかった。おそらくそれで合っているだろうが不安は残る。しばらくして運ばれてきた醤油味の焼きそばは、ちょっと風変わりなものだった。茹で上げたばかりの麺を醤油と調味料で炒め、その上に炒めた豚肉と筍と木耳と白菜を玉子でとじたものがかけてある。半信半疑で口に入れたのだが、これがとても美味かった。最後に付け合わせのスープを飲む。この店の塩ラーメンは絶対に美味いと確信できる味。会計するときにあらためて店内を眺めてみたら、観光組はラーメン、地元組はそれ以外と、見事にわかれていたのでようやく気がついた。星龍軒の焼きそばは、ここに毎日のように通える人にとっての、特別に美味いものなのだ。そういえば、知り合いの生家は朝市の近所だったはず。自分が函館で食べてくるべきは「星龍軒の塩ラーメン」だったのだと思う。

 

星龍軒 北海道函館市若松町7-3

May 31, 2009
HERE TODAY
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友人が撮った正方形の写真を見て、自分も6×6のカメラが欲しいと思ったのは3ケ月前。友人といろいろ相談した末に、ヤシカの二眼レフを買おうと決めたのは先月のこと。それからすぐに恵比寿の「大沢カメラ」に出かけた。ところが、前に寄ったときには、手頃な値段のヤシカが何台かショーケースに並べられていたのに、すでに売れてしまった後らしく、その日は見つからない。がっかりして、棚にたくさん並んだ二眼レフのカメラをなすすべもなく眺めているうちに、上の段に置かれたスプリングカメラに目がとまった。イコンタというドイツ製のカメラだ。手に取らせてもらう。「これは6×9だけど、探せば6×6もありますよ」という店員の説明を聞きながら、ファインダーを覗きピントを合わせてみた。そして気づいた。自分には被写体におじぎするような格好で操作する二眼レフよりも、やはり正対して撮るカメラが向いている。携帯でイコンタの写真を撮り、その場から友人にメールを送った。こういう選択はあるだろうか。店を出て駒沢通りを歩きはじめたところで返事が届く。「ありですね。マミヤ6もいいと思います」。そのまま銀座に出て、中古カメラ店を何軒か覗いみた。3軒目でようやくマミヤ6の「MF」というのが見つかったが、考えていたよりもずっと高い値段だ。素人の自分がこんな高価な中型カメラを持って一体どうしたいのだろう。意気消沈して家に帰った…。

二週間ほど前、打ち合わせで会ったTくんに、自分が6×6のカメラを買おうと思ってからの顛末をこんなふうに話して聞かせたら、「ぼくもマミヤ6を使っていますよ」と笑う。そして、もっと安いものがあるはずだと言う。彼はその翌日からスペインに出張する予定だったので、戻ったら一緒に探しにいく約束をして別れた。数日後、久しぶりにKちゃんと昼ご飯を食べようという話になり、どこがいいかメールでやりとりするついでに、マミヤ6を買うかもしれないと書き添えた。彼女も正方形の写真を撮っているし、教えてもらえることがあるだろうと思ったのだ。数日後、約束の場所に現れたKちゃんは、にこにこしながら「試しに触ってもらおうと思って持ってきました」と、トートバッグからマミヤ6を取り出した。彼女もこのカメラ使っていたのだった。手渡されたマミヤ6には、ずしりとした良い感じの重みがある。やっぱりこれにしようと、持った瞬間に決めた。

Tくんが戻ってくるのがいつだったか考えているときに、Kちゃんからメールが届いた。新宿の中古カメラ店に程度が良くて手頃な値段のマミヤ6があったので、いちおうキープしてもらっているけれど、一緒に見にいきませんかと言う。Tくんには後で断りのメールを送ることにして、「もちろん」と返事した。そして翌々日、Kちゃんが取り置きしてくれた標準レンズ付きのマミヤ6は、めでたく自分のものになった。近くにあった喫茶店で、Kちゃんにやり方を教わりながらフィルムを入れる。あとは、わからないことが出てくる度に、KちゃんかTくんに聞けばいい。さて、最初にどこで何を撮ろうか。そう考えただけで口元がゆるんできた。

この話はここで終わってもいいのだが、後日談を披露する。6×6のカメラを買うきっかけを作ってくれた友人に自慢したくて、一緒に飲んでいるときにマミヤ6を見せたら、「ちょっと触らせてください」と手に取って、いきなり立ち上がったかと思うとカウンターの中にレンズを向け、ピントを合わせてシャッターを押した。それが、手に入れたばかりのこのマミヤ6で撮影した、記念すべき最初の一枚となったのである。